Theme 分子標的薬の新しいバイオマーカー
免疫チェックポイント阻害薬に関わるバイオマーカー
がん分子標的治療 Vol.16 No.2, 28-32, 2018
近年,免疫チェックポイント阻害薬の臨床開発が各種がんで成功を収めているが,本剤によって臨床効果を認める患者は一部に限られ薬剤費も高額であることから,投与すべき患者を事前に選択するバイオマーカーの開発が重要な課題となっている。コンパニオン診断薬として免疫組織化学染色による腫瘍組織でのPD-L1の発現解析が先行して行われたが,PD-L1の発現は腫瘍微小環境の影響を受け発現が変化する動的なマーカーであり,バイオマーカーとしては一部のがん種にしか適用できないのが現状である。現在,腫瘍微小環境,末梢血を中心に,flow cytometer,mass cytometer,免疫組織化学染色,遺伝子解析などさまざまなアプローチでバイオマーカー候補の探索が行われている。動的に変化して複雑なネットワークを形成するがんと宿主免疫系においては,単一のバイオマーカーで治療効果を予測することは困難であり,腫瘍の性質に応じて複数のバイオマーカーを組み合わせたスコアリング評価が必要となるかもしれない。
「KEY WORDS」免疫チェックポイント阻害薬,バイオマーカー,PD-L1,体細胞変異数
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。