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TIVO-1試験

松原伸晃

がん分子標的治療 Vol.15 No.4, 87-91, 2017

腎細胞がんにおける薬物療法はソラフェニブ,スニチニブの登場に始まり,長らくチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が主役であった。しかし,これまでの腎細胞がんで承認されているTKIの標的は血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)のみではなく,c-KIT,FMS様チロシンキナーゼ(FMS-like tyrosine kinase;FLT)3,血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)βといったキナーゼも阻害するマルチターゲットTKIであり,その結果off-target effectにより引き起こされるさまざまな有害事象が問題であった。
TIVO-1試験で用いられた試験薬であるtivozanib hydrochloride(tivozanib)は,その特徴としてVEGFR-1~3を選択的に阻害するTKIであり,またVEGFR以外のキナーゼとの親和性は低く,off-target effectである有害事象の発現低下が期待されている1)
実際,腎細胞がんを対象に行われたtivozanibの第Ⅱ相臨床試験では無増悪生存期間(PFS)中央値は11.7ヵ月であり,VEGFR阻害に伴う有害事象と考えられる高血圧の発現頻度は45%であったのに対し,off-target effectと考えられる下痢は12%,疲労は8%,手足症候群は4%と発現頻度が低く,これまでのTKIとは明らかに異なる毒性プロファイルと発現頻度であった2)
本稿にて解説するTIVO-1試験は,転移性腎細胞がんの1次治療においてtivozanibとソラフェニブを直接比較した国際共同オープンラベル第Ⅲ相臨床試験である3)。本試験の主要評価項目はPFSであるが,これを達成したpositive trialであったにもかかわらず,tivozanibは米国食品医薬品局(FDA)の承認を得られなかった。
本試験の結果の解釈と考察は大変意義深いものであり,大袈裟な表現をすると,臨床試験のありかたとはどうあるべきか? 承認に必要な事項とは?といったことまで考えさせてくれる試験であったと筆者は考えている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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