PARP阻害薬は,DNA修復機構に異常をもつ腫瘍に対し,“合成致死”というメカニズムを通じて画期的な効果を発揮する分子標的薬である。BRCA異常を伴うがんに対して高い奏効率を示す。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)と呼ばれる,若年性の乳がん,卵巣がん患者を対象に,第Ⅲ相臨床試験でその有効性と安全性が示され,日本での承認も近い。今後,HBOCのさまざまな病期,乳がん,卵巣がん以外のBRCA異常がん,抗悪性腫瘍薬との併用療法,またBRCA異常を伴わない相同組み換え修復不全(HRD)がんへの適応拡大が期待される。
「KEY WORDS」PARP,BRCA,合成致死,乳がん,卵巣がん
「KEY WORDS」PARP,BRCA,合成致死,乳がん,卵巣がん