頭頸部がんは免疫監視機構が抑制されている悪性腫瘍であるとされており,免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待できる腫瘍である。プラチナ製剤を含む化学療法終了後から6ヵ月以内に病勢進行または再発が認められた頭頸部扁平上皮がん(プラチナ製剤抵抗性頭頸部扁平上皮がん)患者を対象に,抗PD-1抗体であるニボルマブの有効性が第Ⅲ相臨床試験で示された。この結果を受けて,日本でも「再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌」に対しニボルマブが使用可能となった。免疫療法が標準治療に組み込まれたことにより,さらなる治療成績改善のため,ほかの薬剤や放射線療法と併用する臨床試験が複数行われている。また,免疫チェックポイント阻害薬は頭頸部がんにおいても長期生存につながるような持続的な効果を生み出すことが示されたが,そのような効果を示す患者は一部のみである。そのため適切に治療対象を絞り込む必要があり,治療効果を予測する有効なバイオマーカーの研究が望まれる。
「KEY WORDS」免疫チェックポイント阻害薬,プラチナ製剤抵抗性頭頸部扁平上皮がん ,ニボルマブ