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Theme 各臓器がんに対する免疫チェックポイント阻害薬

各臓器がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の現状について 大腸がん

本多和典谷口浩也

がん分子標的治療 Vol.15 No.4, 19-22, 2017

免疫チェックポイント阻害薬の早期臨床試験において,大腸がんでの奏効例はわずかであり,他がん腫での開発が先行していた。ミスマッチ修復機構の異常(dMMR)を有する大腸がんに対する抗PD-1抗体の良好な成績が報告されて以降,dMMR大腸がんに対する開発が進んでいる。MMR機構の異常を認めない(pMMR)大腸がんに対する免疫チェックポイント阻害薬は,単剤投与では奏効例を認めなかったが,既存薬や新規薬剤との併用療法により有効性を見出していく研究が盛んに行われている。米国食品医薬品局(FDA)は2017年5月23日,抗PD-1抗体であるペムブロリズマブについて,高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはdMMRの固形がんを対象に迅速承認を行った。これまでの化学療法薬は原発臓器ごとに承認されるのが通例であり,共通のバイオマーカーがあったとしても,それぞれで有効性を示す必要があった。MSI-HまたはdMMRの固形がんとしてまとめた臨床試験での承認は新たな時代の幕開けを予感させるものである。
「KEY WORDS」大腸がん ,免疫チェックポイント阻害薬,ミスマッチ修復(MMR),マイクロサテライト不安定性(MSI)

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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