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大腸がん組織のFOXP3 CD4 T細胞サブポピュレーションは炎症の有無により予後を相反する方向に制御する

がん分子標的治療 Vol.15 No.3, 86-89, 2017

制御性T細胞(Treg)はFOXP3を発現するCD4+ T細胞であり,抗腫瘍免疫を抑制すると考えられている。多くのがん腫において,腫瘍への豊富なFOXP3+CD4+ T細胞浸潤は予後不良因子であると報告されているが,大腸がんにおいては評価が一定していない。FOXP3+ CD4+ T細胞は,FOXP3とCD45RAをマーカーとして評価すると3つのサブポピュレーションに分類され,特にFOXP3loCD45RA T細胞は免疫抑制能をもたないnon-Tregである。今回,大腸がんより抽出した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の解析より,このFOXP3lo T細胞が多数浸潤する腫瘍が存在し,その程度により大腸がんが2つのタイプに分類できることが明らかになった。FOXP3lo T細胞が多く浸潤するタイプの大腸がんでは,腸内細菌が腫瘍内に浸潤することで炎症反応が亢進していた。腫瘍内炎症のない腫瘍では,高度のFOXP3+ CD4+ T細胞浸潤は予後不良因子であったが,腫瘍内炎症が高度の腫瘍では逆の傾向を示した。以上より,大腸がんに浸潤するFOXP3lo T細胞とFOXP3hi T細胞は,抗腫瘍免疫を相反する方向に制御することが明らかになった。加えて,腸内細菌が腫瘍内炎症を介して抗腫瘍免疫応答を亢進する可能性があることが示され,腸内細菌叢の制御が大腸がん治療に応用されることが期待された。
「KEY WORDS」がん免疫療法/制御性T細胞(Treg)/腫瘍微小環境/腸内細菌

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抄録