Pharmacogenomics and biomarker
バイオマーカーとしての糖鎖の可能性:脂質型CA19-9の膵がんバイオマーカーとしての重要性と産生機序
がん分子標的治療 Vol.14 No.4, 114-120, 2016
CA19-9は,膵がんの血清診断に有用な最も有名なバイオマーカーの1つであるが,偽陽性が多いことが臨床上の問題である。CA19-9の測定系は同一のモノクローナル抗体を使ったELISA系で,複数の分子を捉えている可能性がある。われわれは,血中脂質型CA19-9が膵がんにおいて特異的に上昇することを見出したが,なぜ膵がんで産生が上昇するかという機序は解明されていない。本研究で,われわれは胆汁中から脂質型CA19-9複合体に存在する新規機能蛋白としてCABINを同定した。CABINのN末端領域を膵がん細胞株に発現させると,細胞内にCA19-9を含む脂質膜が蓄積することから,CABINはCA19-9を含む脂質膜輸送に関与する可能性がある。
「KEY WORDS」CA19-9,CABIN,シアリルルイスA,シアリルルイスX
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。