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Pharmacogenomics and biomarker

免疫チェックポイント阻害薬の効果と毒性

茶本健司

がん分子標的治療 Vol.14 No.3, 61-65, 2016

世界に先駆け2014年に日本で製造販売が承認された抗programmed death-1(PD-1)抗体ニボルマブをはじめとする免疫チェックポイント阻害薬の登場で,がん免疫療法は飛躍的に発展した。日本でもすでに悪性黒色腫と非小細胞肺がん,腎細胞がんに対し保険適応が認められており,がんに対する治療戦略が大きく変わりつつある。従来の分子標的薬とは異なり,免疫チェックポイント阻害薬はがん細胞ではなくリンパ球を標的とし活性化を促す。そのため,腫瘍抑制メカニズムも大きく異なる。治療効果の特徴として,高い奏効率だけでなく,一度効果を発揮した患者では抗腫瘍効果が長期間持続することが挙げられる。しかし,なぜそのような効果があるのかは不明である。さらに,免疫チェックポイント阻害薬は従来の化学療法と比較して副作用が少ないが,自己免疫反応を介した副作用はしばしば問題になる。本稿では,PD-1を標的とした免疫チェックポイント阻害療法の効果と毒性(副作用)に関して概説し,今後の展望を論じる。
「KEY WORDS」免疫チェックポイント阻害薬,抗PD-1抗体,免疫代謝,免疫関連有害事象

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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