抗がん剤,特に上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)をはじめとする分子標的薬においては,薬剤性間質性肺疾患(ILD)がしばしば問題となる。白人より日本人で高率にみられ,人種差が示唆されるが,ILDの原因は解明されていない。また,抗がん剤以外の薬物有害反応において,スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)などは,発症率は低いものの致死的となることがあり,死亡率は約30%ともいわれている。これらの発症関連因子を解明し,発症を予防することは,重要な課題である。これまで,さまざまな薬物の有害反応とヒト白血球抗原(HLA)の関連が報告されており,抗がん剤との関連も含めて概説する。
「KEY WORDS」ヒト白血球抗原,間質性肺疾患,エルロチニブ