Theme 新しいチロシンキナーゼ阻害薬
(座談会)チロシンキナーゼ阻害の耐性克服
がん分子標的治療 Vol.14 No.3, 46-52, 2016
チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が登場し,さまざまながん種において治療成績の向上が認められるようになった。なかでも血液がんにおいては,BCR-ABL阻害薬であるイマチニブの導入により飛躍的な生存期間の延長が示されている。肺がんにおいては上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性例に対するEGFR阻害薬,ALK 融合遺伝子陽性例に対するALK阻害薬で高い効果が得られ,かつ治療前に遺伝子検査を行うといった治療方針の変化をもたらした。
しかしながら,いずれのTKIでも耐性が起こることが知られている。耐性メカニズムの1つとして,標的となる遺伝子に変異が起こり薬剤の結合力が下がることが挙げられる。その代表的な例が,血液がんにおけるBCR-ABLの点突然変異であるT315I変異,肺がんにおけるEGFR の点突然変異であるT790M変異である。また,標的ではない部分のバイパス経路を使って耐性が起こることもある。
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