Theme 新しいチロシンキナーゼ阻害薬
各臓器がんに対する新しいチロシンキナーゼ阻害薬 原発性骨髄線維症,甲状腺がん
がん分子標的治療 Vol.14 No.3, 22-26, 2016
これまで,原発性骨髄線維症(PMF)に対する治療は,移植適応があれば同種造血幹細胞移植による根治を目指せるものの,移植適応外となればハイドロキシウレアや輸血などの対症療法に限られていた。また,甲状腺がんの治療に関しても,手術や放射線療法,放射性ヨウ素治療(RAI)が主流であり,RAI 不応となった分化型甲状腺がん(DTC)に対してはドキソルビシンによる化学療法が行われてきたが,治療効果としては不十分であった。ところが近年分子病態学的に解明が進み,PMF に対してはルキソリチニブ,甲状腺がんにおいてもレンバチニブ,ソラフェニブの両薬剤が使用可能となり,チロシンキナーゼ阻害薬によりこれらの希少がんの治療は大きく進歩を遂げた。本稿では,希少がんの代表としてPMF に対するルキソリチニブおよびRAI 不応DTC に対するレンバチニブ,ソラフェニブを中心に治療効果や安全性を概説する。
「KEY WORDS」原発性骨髄線維症,ルキソリチニブ,甲状腺がん,レンバチニブ,ソラフェニブ
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