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Theme 新しいチロシンキナーゼ阻害薬

各臓器がんに対する新しいチロシンキナーゼ阻害薬 肺がん

吉田達哉

がん分子標的治療 Vol.14 No.3, 10-15, 2016

肺がん領域では,上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対して,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKIs)が治療効果を示すことが確認されたのを皮切りに,ALK 融合遺伝子やROS1 融合遺伝子,RET 融合遺伝子,MET exon14 skipping変異など数多くのドライバー遺伝子変異が同定され,これらに対するTKIsをはじめとした分子標的薬の開発が盛んに行われている。一方,EGFR-TKIsやALKTKIsは,一旦奏効するが,ほとんどすべての症例で獲得耐性により再発することが新たな臨床的問題となっている。特にEGFR 遺伝子変異陽性NSCLCにおいては,耐性化した症例の約半数でT790M変異が認められるが,それを標的とした第3世代EGFR-TKIsの有効性が示されている。またALK 融合遺伝子陽性NSCLCに対しても,新規のALK-TKIsが次々に開発されている。今後もドライバー遺伝子変異や耐性化の機序に対する新しいTKIsの開発が続くと思われる。
「KEY WORDS」チロシンキナーゼ阻害薬,ドライバー遺伝子変異,第3世代EGFR-TKIs,第2世代ALK-TKIs

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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