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Theme 分子標的薬を用いた周術期治療

特集にあたって

戸井雅和

がん分子標的治療 Vol.14 No.2, 1, 2016

周術期治療は,予後の改善,術前に用いれば抗腫瘍効果による局所療法の縮小,効果を知ることによる正確な予後予測,術後治療の個別化などに直接的に関係することが知られている。化学療法では,術後に種々の経口フッ化ピリミジン系製剤を用いる補助化学療法や術前/術後にタキサン系製剤,アンスラサイクリン系製剤,プラチナ製剤などを組み合わせる多剤併用化学療法がしばしば用いられる。これらは病期と腫瘍の病理生物学的特性,増殖能,サブタイプなどとの組み合わせによって,グループごとに選択的に用いられるのが一般的で,さらに個別症例で効果,毒性などにより調整される。分子標的治療の周術期への応用,単独療法,既存の薬物療法との同時/逐次併用などについても主にがん種ごとに検討されており,既存の治療法と同様,病期と生物学的特性,特に標的分子の発現状況,変異の状態などに応じて対象の選択が行われている。ただ,治療概念,標的分子に関する検索手法,投与法,投与期間などはがん種のボーダーを超えて共有されるようになってきた。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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