Pharmacogenomics and biomarker
卵巣明細胞腺がんの予後を予測するバイオマーカー
Biomarkers associated with prognosis of ovarian clear cell carcinoma
がん分子標的治療 Vol.14 No.1, 116-122, 2016
「SUMMARY」卵巣明細胞腺がん(CCC)は初期であっても化学療法に感受性が低く,ほかの組織型と比較して予後不良である。そのため,CCCに絞った予後を予測するバイオマーカーの解明とそれに基づいた分子標的薬の開発,臨床応用が求められている。CCCに特徴的な分子生物学的異常としてPIK3CAの活性化変異やZNF217を含む領域(20q13.2)の増幅,ARID1Aの機能喪失が知られているが,これらの異常はしばしば共存しており,各々の遺伝子のみで予後を予測するのは難しい。そのため,網羅的なゲノム解析をもとにした亜分類から予後と関わる遺伝子群やシグナル伝達経路を抽出することで,より有用なバイオマーカーを同定できる可能性がある。本稿では,染色体コピー数解析と遺伝子発現解析を統合した網羅的なゲノム解析から明らかになってきた卵巣CCCの予後に関するシグナル伝達経路とそれに対する分子標的治療への応用について概説する。
「KEY WORDS」卵巣明細胞腺がん,網羅的遺伝子解析,PI3K/AKT/mTOR経路,ARID1A,血管新生経路
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。