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Cancer biology and new seeds

HDAC阻害薬

HDAC inhibitors

張高明

がん分子標的治療 Vol.14 No.1, 104-107, 2016

「SUMMARY」ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は全身のほとんどの細胞内に存在し,ヒストン脱アセチル化を介して主に転写抑制作用を有する制御因子である。近年,多種類の悪性腫瘍細胞においてHDACが強発現しており,腫瘍細胞の分化やアポトーシス関連分子の発現が抑制されることにより,腫瘍細胞の増殖に寄与していることが明らかにされている。この強発現を是正するHDAC阻害薬ががん分子標的薬として注目されている。HDAC阻害薬は皮膚T細胞性リンパ腫のように単独でも治療効果を発揮する反面,多発性骨髄腫(MM)のようにプロテアソーム阻害薬との併用が治療効果発現に必須であるという結果も報告されており,今後,いかなるがん腫にいかなるクラスのHDAC阻害が適切なのか,あるいはいかなる薬剤との併用が合理的なのかの基礎・臨床研究が切望される。
「KEY WORDS」エピジェネティクス,分子標的薬,HDAC阻害薬,多発性骨髄腫,プロテアソーム阻害薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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