「SUMMARY」網羅的遺伝子変異解析の進歩により,リンパ系腫瘍における遺伝子異常が多数同定されている。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)における遺伝子変異は,B細胞受容体(BCR)-NF-κB経路関連因子(MYD88,CD79B,CARD11,A20など)やエピゲノム関連因子(MLL2,EZH2,CREBBPなど)における変異が蓄積している。急性リンパ芽球性白血病(ALL)においては,TEL(ETV6)やMLLの再構成,BCR-ABL1などの染色体転座に加えて,JAK/STAT,RAS/RAF/MAPK,PI3K/mTORシグナル伝達経路などに関与する遺伝子変異も多数同定されている。本稿では,これらの遺伝子異常を概説し,遺伝子異常に基づく標的治療の開発状況について紹介する。
「KEY WORDS」悪性リンパ腫,急性リンパ芽球性白血病,NF-κB,エピゲノム,分子標的薬
「KEY WORDS」悪性リンパ腫,急性リンパ芽球性白血病,NF-κB,エピゲノム,分子標的薬