「SUMMARY」これまで,放射性ヨウ素治療(RAI)に不応な転移・再発分化型甲状腺がん(DTC)に対する薬物療法はドキソルビシンが治療選択肢の1つであったが,その有効性は不十分なものであった。しかし,2014年にmulti-targeted thyrosine kinase inhibitor(m-TKI)であるソラフェニブ(SOR)の有効性が証明され,新たな治療オプションとして日本でも使用できるようになった。さらに,レンバチニブ(LEN)も第Ⅲ相臨床試験において明らかな有効性が示され,RAI不応転移・再発DTCの治療オプションがさらに充実することとなった。これらの薬剤は主に血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)を阻害することで効果を発揮するが,甲状腺がんには多くの特徴的な遺伝子異常が知られており,治療標的になりうると考えられている。本稿では,DTCにおける分子標的薬の現状と腫瘍の発生や増殖に関わると考えられている特徴的な遺伝子異常について解説する。
「KEY WORDS」分化型甲状腺がん,放射性ヨウ素治療,ソラフェニブ,レンバチニブ,遺伝子異常
「KEY WORDS」分化型甲状腺がん,放射性ヨウ素治療,ソラフェニブ,レンバチニブ,遺伝子異常