【Theme 遺伝子解析に基づく新しい分子標的治療】
特集にあたって
掲載誌
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
Vol.14 No.1 1,
2016
著者名
赤司 浩一
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
診療科目
腫瘍内科
媒体
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
悪性腫瘍に対する分子標的治療の最初の例は,1988年に報告された急性前骨髄球性白血病に対するオールトランス型レチノイン酸(ATRA)である。最初に偶然得られた臨床的効果が上海から報告され,その後,t(15;17)転座により生じるPML-RARα遺伝子の働きを抑制して分化を誘導するという分子生物学的メカニズムが明らかにされた。続いて開発された慢性骨髄性白血病に対するイマチニブは,t(9;22)転座の産生物であるBCR-ABLの活性抑制を直接狙って設計され,劇的な効果が得られた。それ以降,全ゲノム解析,エピゲノム解析などの遺伝子解析,蛋白構造解析,腫瘍免疫などの最新の解析手法によって得られた疾患成立の基本骨格に基づいて,さまざまな分子を標的候補とした分子標的薬がすさまじい勢いで開発されている。腫瘍領域の医師としてこれらをすべてタイムリーにカバーしていくことは容易ではない。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。