Learn more from previous clinical trial
胃がんにおけるrilotumumabのランダム化第Ⅱ相臨床試験とRILOMET-1,2試験の失敗
Unsuccessful RILOMET-1, 2 trial and randomized phase 2 trial of rilotumumab in gastric/gastroesophageal junction adenocarcinoma
がん分子標的治療 Vol.13 No.4, 91-93, 2015
「はじめに」METは細胞膜受容体の1つであり,METに対するリガンドである肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor:HGF)の刺激によりRAS-MAPK経路やPI3K-Akt経路を介して,がん細胞の増殖や血管新生,生存,転移などを引き起こすことが指摘されている1)。METの過剰発現や遺伝子増幅はさまざまながん腫で予後不良と相関することが示され,胃がん患者の26~74%程度に過剰発現がみられ,遺伝子増幅は2~23%に認められる2)-7)。MET過剰発現は,胃がんにおいて生存期間や病期,リンパ節転移や腫瘍の浸潤度との相関が示され,予後不良因子であることが示唆されている4)5)8)。そのため,HGFに対する完全ヒト型モノクローナル免疫グロブリンG(IgG)2抗体であるrilotumumabが,さまざまな臨床試験で胃がんに対する効果を検討された。ランダム化第Ⅱ相臨床試験では胃がんに対する初回標準治療へのrilotumumabの上乗せ効果が示されたものの,第Ⅲ相臨床試験(RILOMET-1試験, RILOMET-2試験)では上乗せ効果を示すことができず,rilotumumabの胃がんにおける治療開発が中止となった。本稿では,これらの試験を振り返り,解説する。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。