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Pharmacogenomics and biomarker

免疫染色によるバイオマーカーのバリデーションに求められるもの

Validation of immunohistochemistry for biomarkers

吉田裕関根茂樹

がん分子標的治療 Vol.13 No.4, 76-81, 2015

「SUMMARY」がん診療における個別化医療は,バイオマーカーの評価に基づく分子標的薬の使用対象の層別化を端緒として発展してきた。免疫組織化学染色(以下,免疫染色)は,簡便に腫瘍組織における蛋白発現を評価する検査法として,すでに多くの分子標的薬の適応決定の根拠(コンパニオン診断薬)として臨床応用されている。しかしながら,バイオマーカーの評価における免疫染色の分析学的妥当性を担保し,持続可能な精度管理を行うことは容易ではない。すなわち,患者の利益に直結する診断の正確性・再現性が,さまざまな要因で損なわれる可能性が現実に存在している。本稿では,バイオマーカー評価における免疫染色の重要性・検査結果に影響を及ぼしうる主要な諸因子を中心に解説した。Oncologistには,自分が臨床的判断の根拠としている免疫染色の結果が,どのような精度管理を受けて生み出されているものなのか,気にかけていただければ幸いである。
「KEY WORDS」バイオマーカー,免疫組織化学染色,コンパニオン診断薬,精度管理,分析学的バリデーション

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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