Theme 分子標的治療を含む併用療法
造血器腫瘍における分子標的治療の耐性と併用療法による克服
Overcoming strategy by combination therapy for resistance to molecular target therapy in hematological malignancies
がん分子標的治療 Vol.13 No.3, 40-45, 2015
「SUMMARY」分子標的薬は,特定の分子を標的として開発された医薬品であり,モノクローナル抗体,キナーゼ阻害薬,プロテアソーム阻害薬などが含まれる。従来型抗がん剤は殺細胞効果を指標に開発が進められ,のちに細胞周期関連分子を標的としていることが明らかになっているが,創薬の段階から分子レベルの標的を定めている点が分子標的薬の特徴である。造血器腫瘍ではイマチニブ,リツキシマブを中心として耐性メカニズムと克服方法が研究され,そのなかで併用療法も開発されてきた。標的分子そのものの量的あるいは質的変化が標的治療におけるメカニズムとして重要であるが,細胞環境や腫瘍細胞における不均一性,細胞死の実行段階における耐性など,従来型の抗がん剤と共通するメカニズムも存在し,臨床的にはこれらが共存・協調しつつ治癒への道を妨げている。標的治療への耐性メカニズムの研究と併用療法を含む克服治療の開発は,今日的な課題であるとともに新たな薬剤開発シーズを生んでいる。
「KEY WORDS」造血器腫瘍,急性骨髄性白血病,白血病幹細胞,オールトランスレチノイン酸,イマチニブ
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