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Theme 分子標的治療を含む併用療法

消化器がんに対する術前術後の分子標的薬についての現状と今後の可能性

Current progress and possibility of molecular targeted agents for perioperative chemotherapy in gastrointestinal cancer

長谷川裕子谷口浩也室圭

がん分子標的治療 Vol.13 No.3, 16-21, 2015

「SUMMARY」切除不能消化器がんに対する化学療法の治療成績は,がんの増殖に関わる蛋白を標的とした分子標的薬の登場により,劇的に改善してきている。しかし,切除不能例に対し有効性が証明された分子標的薬であっても,根治切除後再発リスク低下を目的とした周術期(術前術後)補助化学療法としては必ずしも有効性が証明されない。多くの消化器がんでは,単一の因子に増殖依存が生じている例は稀で,発がん・進展の過程に多数の蛋白が関与していることから,周術期における分子標的薬開発が困難なのかもしれない。今後は,周術期化学療法においてもwhole genome sequencingによる網羅的な遺伝子異常の探索やgene signatureによる分類を用いた治療の個別化が望まれる。
「KEY WORDS」大腸がん,消化管間質腫瘍,周術期化学療法,分子標的薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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