Cancer biology and new seeds
抗TF抗体を用いた抗体―薬物複合体の開発
Development of anti-tissue factor antibody-drug conjugate
がん分子標的治療 Vol.13 No.2, 83-89, 2015
「SUMMARY」抗体-薬物複合体(ADC)の開発は,抗体工学,リンカーテクノロジーなどの技術向上により大変魅了的な領域になってきた。また,トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)の臨床での成功により,他ADCの臨床開発が格段に活発となってきた。しかし,抗体に結合しうる抗がん剤の数はせいぜい3個までであり,それ以上の数を付加すると抗体の親和性が低下するということがわかってきている。その原則を通常の抗がん剤に適用すると,治療効果を得るために数十gのADCを投与することになる。結果として,とにかく強力な毒性のある薬剤(メイタンシン,モノメチルオーリスタチンE(MMAE)など)がADCに選択されるようになった。逆にいえば,パクリタキセルやドキソルビシンなど通常の抗がん剤はADCには不向きで,ミセルなどのナノ粒子に包埋して,がんへターゲティングすることになる。
「KEY WORDS」組織因子,抗体-薬物複合体,ミセル,CAST療法
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。