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Cancer biology and new seeds

最新の抗体創薬の潮流

Current trends in antibody drug discovery

石黒敬弘

がん分子標的治療 Vol.13 No.2, 71-76, 2015

「SUMMARY」抗体医薬は,その開発初期に生じたさまざまな問題を抗体エンジニアリングの技術革新によって克服することで,今日までにがん治療用途として20もの薬剤が米国食品医薬品局(FDA)から認可され,がん治療のための最も重要な治療法の1つとなっている。抗体医薬の作用機序の主なものとしては抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性誘導,シグナルブロック,コンジュゲート抗体による薬物デリバリーなどがあり,それぞれの作用機序に応じた適切な抗原を選択することが抗体創薬における重要なポイントとなっている。昨今は,腫瘍免疫学の発展に伴い,「外科手術」,「放射線療法」,「化学療法・分子標的(低分子)薬」に続く第4の治療法として「免疫療法」が台頭してきた。生体が生来有している抗腫瘍免疫機能を調節する抗体医薬がさまざまながん種に対して有効かつ効果が長続きすることが臨床において実証され,複数の免疫療法と呼ばれる抗体医薬がFDAから認可を受けている。さらに,さまざまな免疫療法の併用によって,抗体創薬はついにがんの根治を目指すという新たなフェーズに突入している。
「KEY WORDS」抗体依存性細胞傷害,シグナルブロッキング,薬物コンジュゲート抗体,がん免疫療法,免疫チェックポイント分子,抗体エンジニアリング技術

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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