【Theme 新たな抗体治療の展開】
(座談会)抗体治療の新展開
掲載誌
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
Vol.13 No.2 58-65,
2015
著者名
大津 敦
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赤司 浩一
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佐治 重衡
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吉村清
記事体裁
抄録
疾患領域
代謝・内分泌
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消化器
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血液
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癌
診療科目
一般外科
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消化器内科
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血液内科
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腫瘍内科
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消化器外科
媒体
がん分子標的・免疫治療(旧:がん分子標的治療)
がんに対する抗体治療が飛躍的に進展している。血液領域においては,抗CD20抗体であるリツキシマブの成功をもとに,抗CD抗体を中心とした開発が進められている。ただし,抗CD20抗体以外は抗がん剤との複合体(抗体-薬物複合体(ADC)製剤)として開発され,抗CD33抗体や抗CD30抗体を用いたADC製剤が治療薬としてすでに使用されている。乳がん領域ではトラスツズマブなど4剤の抗体医薬が標準治療として使用され,このうち1剤はADC製剤である。消化器がん領域でもベバシズマブやセツキシマブなど,すでに複数の抗体医薬が臨床応用されている。抗体治療における最大のトピックは,免疫チェックポイントである細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)やPD-1,そのリガンドのPD-L1に対する抗体医薬の開発である。抗PD-1抗体は日本で最初に悪性黒色腫の治療薬として承認された。固形がんにおいての奏効割合は3割程度だが,効果は持続性があり,将来的には免疫チェックポイント阻害薬による治癒の可能性も示唆されている。その反面,従来の免疫療法薬とは異なり重篤な副作用が報告されており,治療には注意が必要である。また,キメラ抗原受容体(CAR)をT細胞に組み込んだCAR-T細胞やBiTEの研究も精力的に進められており,さらに抗PD-1抗体との併用も期待されている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。