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Theme 新たな抗体治療の展開

新たに開発された抗体治療 悪性黒色腫

Melanoma

清原祥夫

がん分子標的治療 Vol.13 No.2, 46-50, 2015

「SUMMARY」進行期悪性黒色腫の化学療法には今,2つの大きな潮流があり,分子標的薬(BRAF阻害薬,MEK阻害薬)と免疫療法としての免疫チェックポイント阻害薬(抗細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)抗体,抗PD-1抗体)に大別される。それぞれの臨床効果と副作用に大きな特徴がある。これらの特性をよくふまえて,症例ごとに総合的長期戦略をもって治療法を選択しなければならない。有力な治療法の1つとして抗PD-1抗体(ニボルマブ)がある。高い病勢コントロール率(CR+PR+SD 65.8%),長期生存(mOS 473.0日(90%CI:276.0~NR),mPFS 169.0日(90%CI:72.0~277.0):国内第Ⅱ相臨床試験(ONO-4538-02試験)より)が特徴である。また臨床効果の特徴として,抗腫瘍効果の発現までに数ヵ月の時間を要することや抗腫瘍効果が長期間持続すること,また副作用面では免疫介在性の有害事象が認められている。よって,施行者の高いハンドリング精度(上手に使いこなすこと)が求められる。日本発の,世界初の抗PD-1製剤として,また悪性黒色腫のみならず,肺がんや胃がんなどほかの多くのがん種における有効性にも注目度は相当高い。
「KEY WORDS」ニボルマブ,免疫チェックポイント阻害薬,抗PD-1抗体,抗CTLA-4抗体,細胞傷害性Tリンパ球

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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