Theme 新たな抗体治療の展開
新たに開発された抗体治療 胃がん
Gastric cancer
がん分子標的治療 Vol.13 No.2, 28-36, 2015
「SUMMARY」胃がん領域における抗体製剤の標的分子は多岐にわたるが,本稿では特にヒト上皮成長因子受容体(HER)2,血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)/VEGF,上皮成長因子受容体(EGFR),MET/肝細胞増殖因子(HGF),PD-1/PD-L1について概説する。HER2を標的としたトラスツズマブはHER2陽性胃がんの予後を改善することを証明し,実地臨床に導入されている。そのほかにもペルツズマブ,トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)が現在開発中である。血管新生に関与するVEGFR-2を標的としたラムシルマブは,2次治療においてパクリタキセルとの併用または単剤で有用性を示し,日本でも実地臨床に導入が始まっている。EGFRを標的としたnimotuzumabはEGFR強陽性胃がんを対象に有望な結果が報告され,検証試験が実施されている。現在開発中で最も注目されているものは,PD-1/PD-L1を標的とした免疫調整薬である。特にpembrolizumabやすでに悪性黒色腫で使用されているニボルマブは国内でも開発中であり,さまざまながん腫において次々と有用性を証明している期待の薬剤である。
「KEY WORDS」HER2,VEGFR/VEGF,EGFR,MET/HGF,PD-1/PD-L1
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。