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Theme 新たな抗体治療の展開

新たに開発された抗体治療 乳がん

Breast cancer

増田淳内山美由紀小金丸茂博尾崎由記範田辺裕子三浦裕司高野利実

がん分子標的治療 Vol.13 No.2, 6-13, 2015

「SUMMARY」最近の10年間で,ヒト上皮成長因子受容体(HER)2陽性乳がんを中心に乳がんに対する抗体治療は大きな発展を遂げてきた。HER2陽性乳がんは最も悪性度の高いサブタイプの1つであったが,抗HER2薬の登場に伴いその予後は改善されてきた。抗HER2薬にはモノクローナル抗体薬,小分子阻害薬,抗体-薬物複合体(ADC)が存在する。抗ヒト化モノクローナル抗体薬であるトラスツズマブは,転移性乳がんに対する治療薬として1990年代後半に登場し臨床現場に大きなインパクトを与えたが,トラスツズマブ耐性のHER2陽性乳がんが課題となっている。また,抗HER2薬2剤を併用するdual HER2 blockadeが試みられ,有効性を示すデータが多く出てきている。さらに,抗HER2薬に細胞障害性薬剤をリンカーで結合させたADCも新たな治療選択肢として期待される。一方で,トリプルネガティブ乳がん(TNBC)を対象とした抗体治療開発も進められている。抗programmed death-1(PD-1)/programmed death-1 ligand 1(PD-L1)抗体薬や抗糖蛋白質nonmetastatic melanoma protein B(gpNMB)抗体薬の臨床試験が進行しており,結果が期待される。本稿では,これまでに蓄積されてきたエビデンス(表1)をもとに乳がん領域における「新たな抗体治療の展開」について概説する。
「KEY WORDS」トラスツズマブ,ペルツズマブ,トラスツズマブ エムタンシン,抗PD-1抗体,抗糖蛋白質NMB抗体薬

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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