――ガイドライン改訂の経緯とポイントをお聞かせ下さい.
本ガイドラインは2006年に初版を発表したのち,2009年と2013年の改訂を経て,今回,2018年版の発刊に至りました.2018年版作成委員会では新たに取り上げるべきエビデンスについて検討を重ねたほか,ガイドライン作成方法に「Minds診療ガイドライン作成の手引き2014」2)や米国小児科学会(American Academy of Pediatrics:AAP)の方法を取り入れ,推奨の作成においては「患者が受ける益と害のバランス」に考慮するなど,より時代に即した内容としています.

――小児科医に向けて意識した点はありますか.
本ガイドラインは耳鼻咽喉科医を利用者としていましたが,実際に患者さんと最初に接するのは多くが小児科医となるため,2018年版からは小児科医や場合によっては内科医なども含めた,小児急性中耳炎の診療に携わるすべての医師を利用者としました.
急性中耳炎は,高頻度に小児が罹患する代表的上気道炎であり,欧米の報告によると,1歳までに62%,3歳までに83%が少なくとも1回は罹患するとされています3).気管支炎や肺炎,重篤な敗血症を合併するケースもあるため,小児科医の先生方が最初に急性中耳炎を診る可能性も高いと考えられます.小児科医の先生方もぜひ本ガイドラインを手に取っていただき,日々の診療の一助としていただきたいです.