世界的にみると,肺炎球菌感染症はワクチン予防可能疾患による小児死亡原因の第1位である1).肺炎球菌は,小児の数10%が保菌している上気道常在菌の1つであるが,中耳腔,副鼻腔,気管支,肺胞などに入り込み,中耳炎や肺炎などを引き起こすことがある.まれに粘膜バリアを超えて血液内に入り,髄膜炎,菌血症,敗血症などの重症感染症となり,これらは侵襲性肺炎球菌感染症(invasive pneumococcal disease:IPD)と呼ばれている.IPDは,小児期の中で特に2歳以下の乳幼児がハイリスク群である.