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微生物ABC

黄色ブドウ球菌の細菌学的特徴

二本柳伸花木秀明

up-to-date 子どもの感染症 Vol.5 No.2, 4-8, 2017

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureusS. aureus)は,ヒトの鼻腔や皮膚の常在菌でありながら多彩な病原因子や毒素を保有する種々の感染症の起炎菌でもある.メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant S. aureus:MRSA)は,メチシリン(methicillin:DMPPC)を含むβ-ラクタム系薬や種々の抗菌薬に耐性を示す多剤耐性菌であり,その病原性はメチシリン感性黄色ブドウ球菌(methicillin-susceptible S. aureus:MSSA)と大きな違いはない1)
1990年代にはMRSAによる市中感染例が報告されるようになり,本菌を医療施設関連型MRSA(healthcare-associated MRSA:HA-MRSA)と区別するために市中関連型MRSA(community-associated MRSA:CA-MRSA)と呼称している.
CA-MRSAは,病原因子として表皮剥脱毒素(exfoliative toxin:ET)やパントン・バレンタイン型ロイコシジン(Panton-Valentine leukocidin:PVL)を産生する株の割合がHA-MRSAよりも高い2).ETは,膿痂疹やブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(staphylococcal scalded skin syndrome:SSSS)の原因となる毒素で,特に小児科領域で問題となることが多い.わが国のPVL産生CA-MRSAの検出率は海外に比べて低いが,壊死性肺炎の病原因子として注意が必要である.本稿では,おもにMRSAの細菌学的性状と病原因子,CA-MRSAの特徴,抗MRSA薬における治療上の注意点などについて述べる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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