痛みは不快な感覚と情動体験であることが国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain:IASP)により定義されており,うつ病患者のおよそ半数が慢性疼痛をもつとされている1).顎関節症(Temporomandibular disorders:TMD)におけるうつ症状は臨床でもたびたびみられる症状の1つである.米国歯科研究学会(American Association for Dental Research:AADR)によると,顎関節症は筋骨格系,神経筋系,その他関連組織の包括的疾患名であり,身体症状と精神症状の両面を評価し,専門治療にはホームケアプログラムと低侵襲で可逆的な方法を併用するに留めるべきとしている2).また,世界的診断基準のDiagnostic Criteria for Temporomandibular Disorders(DC/TMD)にはⅡ軸評価が含まれている3,4)ことからも,顎関節症において精神状態を評価することが重要であることが示されている.ここでは顎関節症の疾患概念とうつ状態との関わりを概説する.
身体疾患とうつ病 各種疾患・病態におけるうつ病・気分障害の合併の実情
顎関節症とうつ状態
掲載誌
DEPRESSION JOURNAL
Vol.5 No.3 18-21,
2017
著者名
西須大徳
/
角田和之
記事体裁
抄録
疾患領域
精神疾患
/
歯・口腔
診療科目
歯科・口腔外科
/
精神科
媒体
DEPRESSION JOURNAL
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。