特集 薬物療法を最大化するための取り組みや工夫
5.内科によるアルコール依存症の薬物治療
Frontiers in Alcoholism Vol.11 No.2, 28-33, 2023
過剰飲酒は消化器系,心循環器系,中枢および末梢神経系など多領域に障害を引き起こす。アルコール健康障害対策基本法が2014年6月に施行され,多量飲酒者対策はわが国の喫緊の課題となっている。アルコール依存症の合併症として肝障害が最も頻度が高い。アルコール性臓器障害の治療目標は原則,断酒の達成と継続である。近年,アルコール依存症において本人が断酒を希望しない場合や軽症で明確な合併症がない場合は,ハームリダクションの概念が注目されており,薬物療法では飲酒量低減薬のナルメフェンが第一選択となる。アルコール性肝障害を含めたアルコール性臓器障害に対するナルメフェンによる減酒治療の有効性を検討することが喫緊の課題である。
「KEY WORDS」アルコール性肝障害,飲酒量低減,アルコール性肝硬変,ナルメフェン
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