従来のアルコール依存症の治療は,重症者を対象として,飲酒さえなければ健常な人をモデルにしてきた。すなわち,断酒治療が唯一の治療目標であり,プログラムやミーティング中心の治療構成であった。現在においても,断酒が最も確実で安定した治療目標であることに変わりはないが,治療する患者層や,飲酒に至る心理的な解釈に変化がみられる。患者層については,より軽症群あるいは依存症の前段階にある者に早期介入を行い,重症化を防ぐ重要性が認識されてきた。飲酒への心理的理解については,過去の被虐待歴や,発達障害などの精神疾患を有する一群の患者は,生きる上での必要悪としてアルコールを使用してきたことが知られるようになった。このような患者には,一義的に断酒やミーティング中心の治療を行ってもうまくいかないことが多い。患者の病態やニーズにあった多様な治療選択肢が求められている。そのような中で,薬物療法の効果も最大限に発揮することが求められる。本特集は,そのような視点で重要な情報を与えてくれるものである。
                特集 薬物療法を最大化するための取り組みや工夫
              
 1.総論:アルコール依存症の薬物療法を最大化するために必要なこと
                  掲載誌
                
 
                  Frontiers in Alcoholism
                  Vol.11 No.2 8-13,
                  
                    2023
                  
 
                    著者名
                  
  
                          宮田 久嗣
                        
 
                    記事体裁
                  
  
                          抄録
                        / 
                          特集
                        
 
                    疾患領域
                  
  
                          精神疾患
                        
                    診療科目
                  
  
                          精神科
                        / 
                          心療内科
                        
 
                    媒体
                  
 
                      Frontiers in Alcoholism
                    
 
                    Key Words
                  
  
                          断酒,減酒,早期介入,ハームリダクション,患者理解
                        
          ※記事の内容は雑誌掲載時のものです。