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特集 アルコール依存症治療に携わるさまざまな職種とその役割

6.アルコール依存症治療における医師の役割と貢献

佐久間寛之

Frontiers in Alcoholism Vol.11 No.1, 33-36, 2023

多職種連携が医療構造の基本となった今日,チーム医療のなかで医師に求められるものは変化している。依存症医療はパターン化が困難であるため,多職種による複数の視点のかかわりが必要である。治療チームには高い倫理観とヒューマニズムが求められる。医師はその牽引役,良心としてチームをまとめるべきである。同時に科学,医学の視点を忘れず,最新の知見を学び,現場にもち込む役割であることが望まれる。
依存症医療は感情疲労を起こしやすい。治療方針をめぐって摩擦が起きることもしばしばである。医師はチームマネジャーとして対立・分断を防ぎ,チームのパフォーマンスが向上するように動くべきである。チームでは忌憚のない意見をいい合えるよう,心理的安全性が担保される必要がある。安全で居心地のよいチームをつくるため,医師が率先してマネジメントを行えば他職種も納得しやすい。医学の徒として,また良心的なマネジャーとして治療チームの牽引役が望まれる。
「KEY WORDS」チーム医療,多職種連携,感情疲労,心理的安全性,チームマネジメント

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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