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特集 アルコール依存症治療における断酒と飲酒量低減

1.アルコール性臓器障害:断酒と飲酒量低減(ハームリダクション)

浪崎正吉治仁志

Frontiers in Alcoholism Vol.10 No.1, 8-13, 2022

慢性的な過剰飲酒は全身の諸臓器に重大な障害を生じる。2014年6月にアルコール健康障害対策基本法が施行され,アルコール性臓器障害に対するさまざまな取り組みが行われている。断酒はアルコール性臓器障害治療の根幹であり,病態や長期予後改善には必須である。実臨床の現場ではアルコール依存症に対する断酒指導のハードルは極めて高く,飲酒量低減が治療ギャップの縮小に寄与することが期待されている。薬物治療では2019年3月に飲酒量低減薬としてナルメフェンが保険適用になり,断酒を必要とする患者の中間的な治療目標として減酒を設定することでハームリダクションへの新たな選択肢が示されている。アルコール性臓器障害に対するナルメフェンによる飲酒量低減治療の効果を検討することが喫緊の課題である。
「KEY WORDS」アルコール性臓器障害,アルコール性肝硬変,ナルメフェン,ハームリダクション

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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