女性の飲酒は全体としては男性より少ないが,特に若年者で増加傾向が顕著である。女性は男性よりアルコールによる健康被害を受けやすく,アルコール関連肝疾患(alcohol-related/-associated liver disease:ALD)の進行・増悪が女性では男性より少量・短期間の飲酒でも惹起されることが,多くの疫学調査から明らかになっている。臓器障害に性差が生じるメカニズムとしては,アルコール代謝の特性に加えて,自然免疫系応答の違いなどが示唆されている。またその他,女性の過剰飲酒に伴ってみられる問題として,性腺機能異常や骨粗鬆症の悪化,乳がんリスクの増大などが挙げられる。アルコールの適正摂取を考える上でも,男女の身体的特性に十分配慮した社会的取り組みが重要である。
                特集 アルコール依存症と性差
              
 2.アルコール性臓器障害の性差
                  掲載誌
                
 
                  Frontiers in Alcoholism
                  Vol.9 No.1 13-17,
                  
                    2021
                  
 
                    著者名
                  
  
                          池嶋 健一
                        
 
                    記事体裁
                  
  
                          抄録
                        / 
                          特集
                        
 
                    疾患領域
                  
  
                          精神疾患
                        
                    診療科目
                  
  
                          心療内科
                        / 
                          精神科
                        
 
                    媒体
                  
 
                      Frontiers in Alcoholism
                    
 
                    Key Words
                  
  
                          アルコール性肝炎,エストロゲン,自然免疫,エンドトキシン,Kupffer細胞
                        
          ※記事の内容は雑誌掲載時のものです。