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アルコールと芸術

①映画(第5回)

森川恵一

Frontiers in Alcoholism Vol.9 No.1, 6-7, 2021

また,お会いしましたね。松原病院の森川です。今回は,以前にも数行取り上げた際,突っ込み不足とのご意見をいくつかいただきました。わが国の映画『ばかもの』(2010年,日本映画,金子修介監督)についてご紹介します。この映画はアルコール依存症の症状の描写が極めて優れていると考えられますので,ネタバレに注意し終盤は触れないようにして,再度論じたいと思います。
まず,この映画には原作があります。原作は『沖で待つ』で第134回芥川賞を受賞した群馬県高崎市在住の絲山秋子が2008年に発表した小説で,喪失体験を抱えた2人の男女の大人の恋愛小説として,各方面から絶賛されました。現在も新潮文庫にて容易に入手可能ですので,「観てから読むか!」というのも一つの方法ですし,映画もほぼ原作に忠実ですので,「読んでから観るか!」というのでも,違和感は感じないと思います。群馬県高崎市で両親の下で気ままな大学生活を謳歌する秀成(水谷豊の「相棒」の三代目,惜しくも芸能界を引退した成宮寛貴が演じる)は,ある日行きつけのおでん屋に父が忘れた財布を取りに行かされ,内田有紀演じる女将の娘・額子と出会い,秀成は下戸でしたが額子と意気投合し,飲酒し,一夜を共にし,童貞を卒業します。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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