特集 アルコール依存症と家族
5. アルコール依存症の子どもへの支援
Frontiers in Alcoholism Vol.8 No.2, 30-38, 2020
アルコール依存症の子どもへの支援に関する文献研究を行った。アルコール依存症の子どもへの支援の必要性は1980年代頃から報告されている。青少年の非行問題について親のアルコール問題など家族システムに着目した支援の必要性が指摘されて以降,親のアルコール依存症が子どもに与える影響(生活問題,情緒障害など)や世代間伝播の問題が明らかとなり,子どもの声を聞く機会の創出が起こった。その後,アダルトチャイルド概念が日本に導入され,育ちによる生きづらさの理解と支援が主に民間機関を中心に始まった。アダルトチャイルドや未成年の子どもを対象とした自助グループ活動やグループワークによる支援も行われた。2000年頃からは,子ども虐待防止の観点から親と子の暮らしを支援する方法についての取り組みが報告されている。さらに世帯構成数の減少や超高齢社会を背景に,アルコール依存症者を支える子(介護者としての子ども,ヤングケアラー)の支援の必要性が提起されている。書籍やWebコンテンツによる情報や啓発は活発に行われてきた。
「KEY WORDS」アルコール依存症,子ども,支援,文献研究
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。