盗む衝動に抗しきれずそのリスクに見合わない少額の盗みを繰り返すのが窃盗症(k/cleptomania)(本症)であり,行動嗜癖である。本症者は,反省しつつも繰り返す自身の窃盗の理由を明確に説明できない。16世紀の万引きに始まり,19世紀前半にkleptomaniaと命名されたこの障害は,現在も決して稀な疾患ではなく,東西の古典的記述やICD,DSMにおいても,衝動性と嗜癖性が本質であり,「窃盗症は衝動性の障害として発生し,嗜癖問題として進行する」3)。つまり犯罪でも精神障害でもあるといえる。
物質使用障害に合併した摂食障害者の常習窃盗併存者の対応に迫られた赤城高原ホスピタルでは,以降,司法判断待ち時期の治療導入,クレプトマニア対応マニュアル,治療契約書作成,自助グループに準じた集団療法,先輩回復(途上)患者からのメッセージプログラム,返金作戦,サイコドラマ,裁判見学などを行っている。
「KEY WORDS」窃盗症,万引き,欲動,衝動性,嗜癖性
物質使用障害に合併した摂食障害者の常習窃盗併存者の対応に迫られた赤城高原ホスピタルでは,以降,司法判断待ち時期の治療導入,クレプトマニア対応マニュアル,治療契約書作成,自助グループに準じた集団療法,先輩回復(途上)患者からのメッセージプログラム,返金作戦,サイコドラマ,裁判見学などを行っている。
「KEY WORDS」窃盗症,万引き,欲動,衝動性,嗜癖性