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特集 アルコール依存症とその他の依存

1.アルコールと薬物依存症

合川 勇三

Frontiers in Alcoholism Vol.8 No.1, 10-15, 2020

薬物依存症臨床でしばしば問題となってくるのはアルコールである。英国で行われた調査1)では,最も危険な薬物はアルコールであるという結果が報告され,アルコールは違法薬物と比べて安全であるとは決していえない。また,アルコールと薬物を併用することで,うつや飲酒運転など,さまざまな問題を引き起こすリスクが高くなってしまう。また断薬をしても,飲酒をすることによってアルコール依存症を併発したり,精神病症状が悪化して入院となる症例も少なくない。酩酊状態のときに,薬物の再使用に至ることも多い。ベンゾジアゼピン系薬剤とアルコールの併用も健忘や呼吸抑制などを引き起こすなど,非常に危険である。依存症臨床では,アルコールを「薬物よりは安全」とは考えず,「薬物と同様に危険である」と認識し,より健康度の高い生活を目指すような治療を行うことが重要である。
「KEY WORDS」薬物依存症,アルコール,アルコール使用障害,覚せい剤,ベンゾジアゼピン

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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