今回改訂された「新アルコール・薬物使用障害の診療治療ガイドライン」1)では,物質使用障害の重症度を考慮したケアを取り入れたことが特徴の一つである。飲酒のコントロール困難感が重症,あるいは背景因子が複雑な場合,治療目標は原則として断酒とすべきであるが,治療からのドロップアウトを防ぐために飲酒量低減を目標としてもよい。一方で,軽症で明確な合併症を有しないケースでは飲酒量低減も目標となり得るなど,断酒一辺倒ではなく,治療の方向性は柔軟に変化してもよいというアイデアが新たなガイドラインに活かされている。2019年1月に減酒薬であるナルメフェンが認可され,心理社会的治療とともに提供されることで飲酒量低減への新たな手段が示され,今後の減酒のコンセプトの浸透が期待される。
「KEY WORDS」飲酒量低減,軽症者,アカンプロサート,ナルメフェン,減酒薬