アルコール依存症の治療薬として承認されている薬剤は,アカンプロサート,ナルメフェン,ジスルフィラム,シアナミドの4種類である。アカンプロサートは断酒の維持に有効であることがメタ解析で確認されているが,飲酒量を減らす効果はない。投与前に十分な禁酒期間を置いてから投与する必要がある。ナルメフェンは多量飲酒者に必要時服用での飲酒量低減効果があることが確かめられている。ジスルフィラムは観察者がいる場合に断酒率を上げる効果がある。依存症が重症な患者では低リスク飲酒を続けることが困難であると報告されており,一般的に軽症者では減酒を目標としたナルメフェン投与の対象となり,重症者では断酒を目標としてアカンプロサートを選択することが望ましい。観察者がいる場合はジスルフィラムも考慮される。断酒が受け入れられない場合は,中間的な目標としての減酒もあり得る。
「KEY WORDS」アルコール依存症,アカンプロサート,ナルメフェン,ジスルフィラム,重症度