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特集 アルコール・薬物使用障害の診断・治療ガイドライン2018

3.早期介入の観点から ―重症度別の対応について―

杠岳文

Frontiers in Alcoholism Vol.6 No.2, 23-27, 2018

わが国のアルコール医療は,これまで断酒を唯一の治療目標に掲げ,精神科医療機関を主な治療の場をしてきたことで,治療対象は重症で治療抵抗性のアルコール依存症に偏っていた。今後,治療対象をアルコール使用障害に広げ,効果的な早期介入を行うために,治療目標に節酒を取り入れる必要があるが,これにはプライマリケアや消化器科などの一般診療科でのブリーフ・インターベンションの普及がカギを握る。軽症の依存症の患者までは,ブリーフ・インターベンションを用いた早期介入で大きな減酒効果を生むことが期待できる。また,うつや不安障害などの精神疾患を合併する場合,節酒の効果が不十分,あるいは深刻なアルコール関連問題がある場合は,評価と断酒治療導入のため専門医療機関への紹介が望まれる。専門医療機関での断酒治療導入までに時間を要する場合もあるが,この間も命を守る節酒が求められる。
「KEY WORDS」節酒,断酒,早期介入,プライマリケア,ブリーフ・インターベンション

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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