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特集 アルコール依存症に合併する身体疾患とその治療

5.アルコールとがん

横山顕

Frontiers in Alcoholism Vol.6 No.1, 41-48, 2018

飲酒に関連したエタノールとアセトアルデヒドにはヒトへの発がん性があり,飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・女性の乳がんの原因となる(WHO)。飲酒発がんにはエタノールやアセトアルデヒドの作用,葉酸やエストロゲンへの影響,CYP2E1の誘導,酸化ストレス,肝臓の慢性炎症,喫煙や野菜果物摂取不足が関与する。少量飲酒で赤くなる体質のALDH2へテロ欠損型と多量飲酒の翌日に酒臭い体質のADH1Bホモ低活性型は飲酒と喫煙とともに,食道と頭頸部がんのリスクを相乗的に高める。特にALDH2へテロ欠損者の飲酒は多発重複がんのリスクとなる。禁酒の発がん予防効果は,頭頸部・食道・肝臓で示されている。飲酒はC型肝炎ウイルス感染から肝硬変・肝臓がんに至る期間を早める。アルコール性肝硬変からの肝がん発生率は5年で6%から12%までばらつきが大きく,高齢,進行した肝硬変,喫煙,肥満,糖尿病,他臓器がんの既往,飲酒継続などの危険因子が多いほど発がんしやすい。大腸がんのリスクは,毎日日本酒換算3合以上で約2倍になる。妊婦の飲酒が小児の急性骨髄性白血病のリスクを高めるというエビデンスが増加している。
「KEY WORDS」アルコール,アセトアルデヒド,ADH1B,ALDH2,がん

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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