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WHITE PLUS~いま,女性医療の領域で起きている注目すべき変化~

女性と家族介護の現状と課題

渡邊多永子

WHITE Vol.7 No.1, 78-81, 2019

介護という言葉が,今と同じ意味で使われるようになったのは1960~70年代以降であるという1).一方,わが国で「介護」という行為がいつから広く存在したかは議論の分かれるところであり,平均寿命が延び,また社会に介護をする人,される人をともに養う余剰ができた高度経済成長期以降という意見もあれば2),そのはるか以前から存在したという説もある3).ただ,少なくともこの半世紀の間,生活に手助けが必要となった高齢者とそれを支える家族の問題は社会的課題であり続け,政府は増大するニーズに答えつつ試行錯誤を重ねて,1970年代の高齢者医療費無料制度,1989年に始まったゴールドプランなどを経て,2000年の公的介護保険制度導入に至った4).しかし,介護保険制度の設立から20年近くが経過してその利用者が計474万人にまで達し5),この制度が多くの高齢者の暮らしに不可欠となった今でさえ,介護は多くの家族を悩ます問題であり続けている.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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