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Expert Message 漢方でウイメンズヘルス

第4回 女性のメンタルヘルス

武者稚枝子

WHITE Vol.7 No.1, 49-52, 2019

「女性は男性の2倍うつ病になりやすい!」…これはよく知られた事実である1).さらに女性は「不定愁訴」が多いとされる.
不定愁訴は,①主観的な訴えであり,②愁訴が多彩で,③他覚的所見に比して不相応に自覚症状が強く,④愁訴の質的変化や数的変化が見られやすい(症候移動)もので,「婦人不定愁訴症候群」とも言われる.発症時期は思春期・性成熟期(月経前・月経時・分娩後<産褥期・流産期>・去勢後)・更年期・老年期に多いとされ2),まさにうつの発症時期と重なる.
一方,「自殺する者の7割は男性」で,特に50歳代を中心とした年齢層が約半数を占めており,ここ10年は傾向が変わっていない.「男性は繊細で,女性は図太い」という専門家もいる.しかし,本当にそうだろうか? 女性のうつには男性のうつとは異なる機序があるのではないだろうか? 今回は女性のメンタルヘルスとして,「うつ症状≒不定愁訴」と捉え,その特徴を漢方薬の処方から考えたいと思う.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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