特集 メスを使わない美容皮膚科はどこまで進歩したか?
4 効能を取得した医薬品と化粧品
WHITE Vol.7 No.1, 31-36, 2019
日本では,1年間にどのくらいの化粧品が消費されているのだろうか? わが国における化粧品の年間出荷額は1兆4,000億円前後であり,世帯別の年間平均支出額は,3万2,000~5,500円とされている1).
「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律」には,「化粧品」とは,人の身体を清潔にし,美化し,魅力を増し,容貌を変え,または皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために,身体に塗擦,散布,そのほかこれらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので,人体に対する作用が緩慢なものをいう,と定められている.一方で「医薬品」は,疾病の診断,治療,予防に使用されることが目的とされている.また,身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされていると定義されている.これらはどちらも薬事法で扱われており,両者の特徴を併せ持つものが「医薬部外品」と言われている.医薬部外品・化粧品は医薬品と異なり厳密な使用方法は規定されておらず,長期間にわたって用いられることが多い.
最近,高齢化を背景としてアンチエイジング化粧品の開発が進むとともに,美容皮膚科分野における効能を取得した医薬品が日々増えていることは言うまでもない.これらの化粧品や医薬品は,われわれ皮膚科医にとっても,皮膚疾患の原因になり得る反面,患者指導の有用なツールとして縁の深い存在になりつつある.そこで,ここでは効能を取得した医薬品,化粧品(美白・抗シワ)に関して触れたい.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。