「だるい」「無気力」「ふらふらする」治療は手詰まり.憂鬱そうな患者に,ちょっとうんざり….そんなとき漢方薬が使えると楽である.西洋医学的に苦手なところをいかにカバーするか.古典や,脈診,舌診,腹診がよくわからなくても,効果的に漢方薬を使いわけることができる.決め手は構成生薬を理解することである.
漢方薬は主に草根木皮のような生薬を複数組み合わせて作ったものである.原始時代に食物を探し求める過程で毒物や薬物としての役割を持つ物質を経験的に反復,進化させ,薬物療法を編み出してきた.医食同源と言われる所以である.処方構成は 2000年前と変わらない.発売当初は目新しくてもそのうち時代遅れになる,ということが漢方薬ではありえない.自分の経験や学習した内容は,年を重ねても古びることなく頭に残っていく.漢方の勉強が楽しいのはそのためである.