2013年度厚労省国民生活基礎調査の結果1)から,介護が必要になった理由をみてみると,1位の脳血管疾患,2位の認知症に続いて,高齢による衰弱(13.4%)が3位となっている.高齢による衰弱の前段階としてフレイルという概念が2014年日本老年医学会から発表された2).これによると,フレイルとは「Frailtyの日本語訳であり,高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し,生活機能障害,要介護状態,死亡などの転帰に陥りやすい状態で,筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず,認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題,独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念」と定義されている2).この定義によると,フレイルは多面的な要素,すなわち,身体的,精神・心理的,社会的要素をもっている.フレイルの多面的要素のうち,身体的フレイルの主体をなす病態として,サルコペニア(Sarcopenia:SP)が注目されている.SPは筋肉量の低下を主体とするが,握力や歩行速度の低下など機能的低下を含む概念3)である.